フランス欧州ビジネスニュース2025年7月10日(フリー)

1. 6月、ヨーロッパで太陽光発電が最大の電力供給源に
2. 宇宙:スターリンクに対抗するため、フランスとイギリスがユーテルサットを中心に協力
3. 仏エネルギー法:上院での合意にもかかわらず、政府、依然として課題に直面
4. 次世代戦闘機をめぐるフランスとドイツの新たな緊張
5. 宇宙:米仏ロフト・オービタル、極めて機密性の高い防衛契約を獲得
6. 中国企業の関心を引くフランス産業構造の脆弱性
7. テフロン加工のフライパン:ティファール、「欺瞞的な商慣行」を理由にNGOから訴えられる
8. 予約プラットフォームBooking、フランスでホテル経営者に対する「制限的な競争慣行」を批判される
1. 6月、ヨーロッパで太陽光発電が最大の電力供給源に
2025年6月、太陽光発電がEUにおける電力供給源の第1位となり、22.1%(45.4TWh)の割合で原子力(21.8%)を初めて上回った。この快挙は、異常なほどの晴天と前年同月比22%の生産量増加によるものである。
EU加盟13カ国が過去最高の太陽光発電を記録し、オランダは40.5%、ギリシャは35.1%、フランスは約10%を太陽光から得た。
また、風力発電も好調で、5月は16.6%、6月は15.8%を占め、強風と洋上風力発電所の稼働が後押しした。電力需要は2025年前期に2.2%増加し、1,313TWhに達した。
一方で、石炭火力発電は6.1%(12.6TWh)と過去最低水準に落ち込んだ。特にドイツ(12.4%)とポーランド(42.9%)は、EUの石炭火力発電の79%を占めていたが、大幅に抑制された。10カ国は石炭発電ゼロで、アイルランドは6月20日に最後の石炭火力発電所を閉鎖した。
しかし、化石燃料全体では、依然として23.6%を占めており、2025年前半には前年比13%増加した。この理由としては、水力発電が15%減少したことと、ガス火力発電が19%増加したことが挙げられる。
2. 宇宙:スターリンクに対抗するため、フランスとイギリスがユーテルサットを中心に協力
イギリスは、フランスの衛星企業Eutelsatに1億6,300万ユーロを投資し、再資本計画の総額は15億ユーロに達した。そのうち7億5,000万ユーロをフランス政府が拠出している。この英国の支援は、現在の出資比率10.9%を維持し、6月19日に発表された大規模増資による希薄化を避けることを目的としている。これにより、フランス政府は出資比率29.9%まで引き上げた。
Eutelsatは、Starlinkに対抗し得る唯一の欧州勢であり、低軌道通信(LEO)を担うOneWebを通じて地政学的に重要な存在となっている。同社は、EUの次世代衛星コンステレーション「Iris²」の中心でもある。
今回の支援計画には以下も含まれる:
· ジャン=フランソワ・ファラシェ氏のCEO就任。
· Bharti(19%)、CMA CGM(8%)、戦略出資ファンド(5%)も出資継続。
· 6月中旬以降に株価が+25%上昇。
· 英投資発表後に+4.8%上昇(3.7ユーロ)。
さらに、Eutelsatを通じて、フランスのDGA(軍需庁)と英国MOD(国防省)が安全な通信および相互運用性に関する軍事協力を進めている。イギリスはEU非加盟国でありながら、今後のIris²プロジェクトに関与する可能性があり、欧州外の西側ブロックとの戦略的同盟としてエリゼ宮は歓迎している。
3. 仏エネルギー法:上院での合意にもかかわらず、政府、依然として課題に直面
2025年秋に向けて、フランスのエネルギー政策に関する議会審議が続いている。エネルギー大臣マルク・フェラッチは、法律の目的を具体化する政令を「夏の終わりまでに」発表したいと考えているが、法律自体は9月22日以降にようやく確定する予定である。具体的には、9月22・23日に国民議会で再審議され、10月中旬には合同委員会で両院の意見を調整する。
右派多数の上院(セナ)は、政府案を修正した妥協案を採択し、脱炭素のエネルギーミックス(原子力と再生可能エネルギーの併用)を維持する方針を示した。ただし、新しい陸上風力発電の設置は抑制し、既存設備の更新を優先する姿勢を明確にした。
一方で、国民連合(RN)は、「エネルギーの行き詰まり」を理由に政府不信任を示唆している。また、政府内部でも対立が生じており、内務大臣でLR(共和党)党首のブルーノ・ルテイヨーは再エネへの補助金打ち切りを要求し、これに対して与党内から強い批判があった。
政令の発表は、2026年初頭に予定される大規模洋上風力発電公募(AO10)の準備のために緊急性が高いとされる。しかし、前回のAO8(センターマンシュ2)の結果も未公表のままであり、エネルギー大手エンジー社もランド地方の大規模太陽光発電所計画を中止するかどうか判断できていない。
首相府(マチニョン)は、今後の政令発表について「すべての選択肢を検討中」とし、議会の行方を注視している。首相フランソワ・バイルーは、現時点での政令発表はリスクが高いとし、法案が成立すれば正当化できるが、そうでない場合は単独判断で発表する可能性もあるとされる。