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フランス欧州ビジネスニュース2025年6月27日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2025年6月27日(フリー)
世界第4位種子会社かつ野菜種子分野で世界第1位仏Limagrain

1.        新エネ:屋上ソーラーパネルへの支援、仏政府、新たな削減

2.        需要が増えすぎ、オランダで電力供給にウェイティングリスト

3.        種子:アブダビでキュウリを栽培したいリマグレイン

4.        アップル、激しい交渉の末、ブリュッセルに屈服

5.        フレンチテック:睡眠時無呼吸を検出するアプリケーション「Apneal」

6.        F1から宇宙へ、SERM、シリウススペースに加わる

7.        フランスで拒絶された恋人、シーメンス、産業用AIで再び挑戦

8.        欧州連合防衛予算GDP 5%への引き上げ、5つの欺瞞

9.        自動車:フランス、10年後に4分の1近くの雇用が消滅する可能性


1.        新エネ:屋上ソーラーパネルへの支援、仏政府、新たな削減

フランス政府は、2025年7月1日から大規模屋根上太陽光発電による電力の買い取り価格を6.8%引き下げると発表した。対象は100〜500 kWの設備であり、価格は1MWhあたり95ユーロから88.60ユーロへと下がり、年初からの合計で19.5%の減少となる。
個人向けの価格(2月に40ユーロへ引き下げ済み)は今回の対象外である。エネルギー規制委員会(CRE)によると、2025年の太陽光発電向け補助金総額は29億ユーロと見込まれ、2024年の21億ユーロから増加する見通しである。これは主に高額な旧契約によるものである。
2025年3〜5月にかけての接続申請が予想の2.3倍に達したことが、今回の価格引き下げの背景にある。また、3月末以降に導入された1万ユーロの保証金制度により、申請数は3分の1減少した。
2025年秋からは、現行の固定価格買取制度(FIT)が廃止され、簡素化された入札制度に切り替わる予定であり、割当容量の削減に対する業界の懸念も高まっている。
さらに、フランスのエネルギー政策の方向性は依然として不透明である。電力消費はコロナ前の水準に戻っておらず電気自動車や産業の脱炭素化といった電化の進展も遅れている2年の遅延を経て、今夏末までにエネルギー関連の政令が発表される見込みである。


2.        需要が増えすぎ、オランダで電力供給にウェイティングリスト

 オランダでは、急速なエネルギー転換の影響で、電力網の混雑が深刻化している。特に午後16時から21時の間に需要が集中し、電力接続の順番待ちリストが全国的に導入されている。2024年1月時点で、約12,000の企業が工場や充電スタンドの接続を待ち、さらに8,000件超再生可能エネルギーの電力を送電網に供給したいと申請している。
電力高圧網を運営するTenneTによれば、2030年までは供給の安全が保たれるが、それ以降はリスクが急増すると警告されている。Energie-Nederlandの会長で元インフラ大臣のコラ・ファン・ニューウェンハウゼンは、送電網の整備の遅れ電気料金の高騰(欧州で最上位)、そしてエネルギー貧困層の増加を批判している。
2023年、オランダは太陽光発電の世界一となり、設置容量は24.4ギガワットに達した。3分の1の家庭が自家発電を行っており、電力の50%以上が脱炭素化されている。これは太陽光、風力、バイオマス、原子力によるものである。
かつて世界最大のガス田だったフローニンゲンの採掘は、2年前に終了し、ウクライナ戦争と重なってエネルギー輸入の困難と価格高騰を招いた。政府はTenneTに440億ユーロの融資を行ったが、必要額は2,000億ユーロ以上である。さらに、2050年までに10万キロのケーブルの敷設が必要とされている。
この危機を受けて、地域エネルギー共同体の取り組みが広がっている。地方自治体、企業、農家、住民が連携し、エネルギーを地産地消するモデルが形成されつつある。国家鉄道NS水管理機関もその構築に関与しており、電力網の混雑は、革新を促す機会ともなっている。


3.        種子:アブダビでキュウリを栽培したいリマグレイン


フランスの種子企業Limagrainは、世界第4位の種子会社かつ野菜種子分野で世界第1位として、アブダビの政府系ファンドADQと提携し、砂漠環境に適応した種子の開発を進めている。目的は、水不足と塩分を含んだ土壌という厳しい環境下でも、トマトキュウリを地元で栽培可能にすることである。
ADQは、Limagrainの野菜種子部門の資本の35%を取得する予定であり、これは35か国に4,000人の従業員を抱える部門で、売上は8億ユーロ、グループ全体では25億ユーロである。
Limagrainは創立60周年を迎え、すでに2,200人の研究者を擁しており、高温環境に強い種子を開発するために遺伝子ライブラリを構築し、現地の研究所と連携する。また、同社は53か国に100以上のR&Dセンターを持つが、中東・アフリカ地域の売上は全体の8%に過ぎない。
研究開発には2024〜2025年度に3億2,000万ユーロ(前年度は3億1,100万ユーロ)を投資しており、過去10年間で50%増加している。しかし、3,500万ユーロの研究開発税控除(CIR)が削減されるリスクを懸念している。これは、フランスが種子輸出で世界一の地位を維持するために不可欠な制度である。
さらに、LimagrainはJacquet Brossard(パン製品)のオーナーでもあり、この種子技術を他の乾燥地域にも展開することを目指している。