フランス欧州ビジネスニュース2025年6月13日(フリー)

1.        土壌の人工化：再エネ企業ネオエン、ジロンド県の巨大太陽光発電所の「ブロック解除」を呼びかる

2.        世界銀行、原子力プロジェクト支援発表の背後にある隠されたメッセージ

3.        ビオンテック、ライバルのキュアバックを買収、ドイツのがん治療のリーダーを誕生させる

4.        トレニタリア、SNCFのドル箱路線であるパリ・マルセイユ線を攻撃

5.        仏財務省、2035年からガソリン車の販売禁止を緩和することを検討

6.        インターパルファム：ラコステのライセンスは今年1億ユーロの価値

7.        仏政府、1万人の公務員をAI化するためにミストラルを選択

8.        ビデオゲーム：仏プルアップ・エンターテインメント、記録的な年を経て新たな時代へ

9.        スペインのAI企業Multiverse Computing、 1億8,900万ユーロを調達

1.        土壌の人工化：再エネ企業ネオエン、ジロンド県の巨大太陽光発電所の「ブロック解除」を呼びかる

NeoenとEngieが推進するHorizeoプロジェクトは、ボルドー南方に位置する680ヘクタールの森林に、出力800メガワット（MW）の巨大太陽光発電所を建設する計画である。総事業費は6億ユーロで、ヨーロッパ最大級の規模となる。しかし、このプロジェクトは2021年からのゼロ人工化（ZAN）規制により、1年以上停止状態にある。
NeoenのCEOであるグザヴィエ・バルバロは、政府に対し、許可の早期発行を求めており、「必要なのはZANの許可だけで、再植林区域も含めすべて準備は整っている」と述べている。最終判断は政府の手に委ねられている状況である。
このプロジェクトは、森林内での25ヘクタール以上の太陽光発電所新設を禁じる新たな規制以前から計画されていたが、地元の林業団体、農業団体、狩猟者、環境団体から強い反発を受けている。彼らは、火災や洪水のリスク増加、森林の独占を懸念している。
2028年の稼働を目指すHorizeoは、再生可能電力の供給だけでなく、国内の太陽光パネル製造産業の復活にも寄与すると期待されている。

2.        世界銀行、原子力プロジェクト支援発表の背後にある隠されたメッセージ

世界銀行は、数十年ぶりに民間原子力への支援強化を発表した。これは既存の原子炉の運転延長、インフラの改善、そして小型モジュール炉（PRM）の開発加速を含むものである。目的は、今後10年間で3億人以上を電力網に接続することであり、国際原子力機関（AIEA）と連携して進められる。
この決定の背景には、アメリカ、韓国、フランス、ポーランド、チェコといった国々による強力なロビー活動が存在する。これらの国は自国の技術の輸出や技術的進歩を目指している。また、2011年の福島事故以降反原発だったドイツも、現政権下で方針が軟化している。
支援額の具体的な数字は公表されておらず、この発表は主に銀行への明確なメッセージであり、資金提供を促す意図がある。原子力は金融的に非常にリスクが高いと見なされ、金利が50％に達するプロジェクトもあるという。この新方針は、ウェスティングハウス、KHNP（韓国）、そしてフラマトム（フランス）などの企業に利益をもたらす可能性が高い。

3.        ビオンテック、ライバルのキュアバックを買収、ドイツのがん治療のリーダーを誕生させる

ドイツのバイオテック企業BioNTechは、ライバル企業であるCureVacを12億5000万ドルで買収すると発表した。この発表は、Bristol Myers Squibbとのがん治療に関する大型契約からわずか2週間後である。今回の買収により、がん戦略を強化し、補完的な科学的能力、独自技術、製造分野の専門性を統合する狙いがある。
買収提案はCureVacの株価を5.46ドルと評価し、これは過去3か月の平均株価に対して55％のプレミアムとなる。発表を受けてCureVacの株価は30％以上急騰した。取引には36.8％の株式を保有するDieviniや、13.3％を持つドイツ政府などの主要株主が支持を表明している。
BioNTechの企業価値は220億ユーロであり、270億ユーロのBayerに迫るドイツのバイオテクノロジー分野の代表格となった。CureVacの株価は2020年末のパンデミック最盛期に120ドルに達したが、その後価値は大きく下落した。さらにCureVacはGSKと最大14億5000万ユーロ規模の契約を結び、インフルエンザ、COVID、鳥インフルエンザ向けのmRNAワクチンの世界的権利をGSKに供与することで合意している。