フランス欧州ビジネスニュース2025年12月8日(フリー)
1. 水素:業界はフランスの遅れについて警告
2. 都市暖房ネットワークはVeoliaの強力な成長原動力
3. エネルギー転換の旗手であるデンマーク、再び天然ガスを復活させる
4. 原子力発電:EDFのEPR2原子炉の将来はブリュッセルの手に
5. 中国車:歴史的な赤字に直面し、欧州は警戒状態に
6. 欧州委員会、自動車産業救済計画の発表を延期
7. 仏自動車部品サプライヤー、中国の津波について警鐘を鳴らす
8. 罰金、アクセス制限…EU はソーシャル ネットワーク X との戦いでどこまで踏み込めるか?
1. 水素:業界はフランスの遅れについて警告
ベルフォールで開催された第5回「水素ビジネス気候フォーラム」は、350人の参加者と37の出展者を集め、地域の活力を示す一方で、フランスの水素産業の進展の遅さに対する懸念が支配的であった。産業界と議員らは、国が明確なロードマップを設定しないこと、そして2021年以来期待されている支援メカニズムの遅延を非難しており、中国などとの世界的な競争にフランスが後れを取ることを危惧しているのである。H2SYSなどの企業は、国内需要の低迷に適応せざるを得ず、従業員を20人から15人に削減し、輸出に活路を見出している。また、AKGなどの企業は、国がインフラ整備に投資しなければ、技術的優位性が失われると警告を発しており、低炭素の原子力発電による比較優位性があるにもかかわらず、この産業が停滞しているという矛盾を指摘している。こうした国家的なためらいに対し、ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏などの地方自治体は前進を続けており、特に2026年春にはコンソーシアム形式の「水素学校」を開設する予定である。1990年代から先駆けてきたこの産業の関係者らは、水素を主権の柱と見なしており、フランスが産業規模を拡大するためには、安定的かつ明確な産業戦略が不可欠であると強く主張している。
2. 都市暖房ネットワークはVeoliaの強力な成長原動力
水と廃棄物処理のフランス大手Veoliaは、中央ヨーロッパにおける事業で、2030年までに火力発電所の脱炭素化へ16億ユーロを投資する計画である。同社は、脱炭素化された地域暖房市場に2030年までに80億ユーロの潜在性があると見ており、2018年に始動した計画で、ポーランドやチェコなどでの変革にすでに7億ユーロを投じている。これらの投資は、CO21トンあたり70から80ユーロが課される欧州連合(EU)の排出枠課税による収益により、採算性が高いと判断されている。2002年から運営するポーランドのポズナン発電所がこの戦略の事例となっており、石炭の使用率は55%未満に抑えられ、2030年の完全廃止を目指している。同社は、2050年までにガス、バイオマス、地熱を利用した100%非化石燃料の地域暖房システム構築を目指している。エネルギー事業は(2024年の売上高447億ユーロの25%を占める)成長の柱であり、Veoliaは、有害廃棄物処理にも注力している。最近では、米国のClean Earth社を30億ドル(8億6,000万ユーロ)で買収し、事業拡大を図っている。
3. エネルギー転換の旗手であるデンマーク、再び天然ガスを復活させる
デンマークは北海にある大規模なタイラガス田の稼働再開により、純輸出国に復帰した。TotalEnergiesがパートナーと共同で操業するこの施設は、欧州でも有数の規模を誇るが、貯留層の沈下による改修のため、5年間(2019年から2024年)生産を停止していた。改修工事の費用は36億ユーロに上る。現在、このプラットフォームは1日あたり570万立方メートルのガスを採掘でき、年間では国内消費量の2倍に相当する量を供給可能であり、デンマークは欧州のエネルギー主権に貢献している。2024年時点で必要量の85%を輸入に頼っていた欧州連合(EU)にとって、この生産再開は2027年秋までにロシア産ガスからの完全脱却を後押しするものと位置づけられている。化石エネルギーであるガスの再生産は、2024年時点で電力構成の58%を風力発電が占め、2035年までに温室効果ガス排出量を82%から85%削減するという目標を持つ同国にとって矛盾しているようにも見える。しかし、タイラのガス採掘と輸出は2025年の国内総生産(GDP)成長率を0.5パーセントポイント押し上げると予測されている。タイラは古い施設に比べ二酸化炭素排出量を30%削減しており、エネルギー安全保障のための移行期の「中継ぎ役」として正当化されている。ただし、その供給能力はEU全体の必要量の1%に過ぎず、デンマークは北海における炭化水素採掘を2050年までに、そしてタイラについては2042年までに停止するという公約を維持している。