フランス欧州ビジネスニュース2025年12月5日(フリー)
1. 量子ナビゲーション:妨害電波に対抗し安全な飛行を実現するためのGPSの代替手段
2. 仏Urgo、スペインのNutriexperts社を買収
3. 航空:エアバスのスピンオフ企業であるSpherea、カナダの企業Avernaを買収、規模が2倍に拡大
4. コート・デュ・ローヌのワイン生産者がブドウ畑での太陽光パネル設置を禁止
5. 自動車業界、メーカーとサプライヤーが「ヨーロッパ製」部品のシェアをめぐって激しい競争
6. 「不利な価格環境」:鉱業グループエラメットは緊縮財政を余儀なくされる
7. 放射性廃棄物:原子力規制当局、Cigéoプロジェクトにゴーサイン
8. 英国の電力・ガス網のアップグレード計画(280億ポンド)について
1. 量子ナビゲーション:妨害電波に対抗し安全な飛行を実現するためのGPSの代替手段
全地球測位システム(GNSS)、例えばGPSやGalileoへの妨害(ジャミング)や信号のなりすまし(スプーフィング)は、ハイブリッド戦争の道具となり、航空産業に重大なリスクを突きつけている。ニューデリーの空港での着陸困難事例や欧州閣僚機のGPS妨害など、安価な装置でも深刻な混乱を引き起こす可能性が示された。2021年8月から2024年6月までに58万件超のGPS干渉が記録され、昨年は1ヶ月で4万1千件の事案が確認されており、脅威は急速に拡大している。米英の分析では、GNSSの一時的な停止による経済的損失は一日あたり約10億ドルと推定されている。この問題に対し、量子技術エコシステムが解決策を打ち出している。スタートアップのAQNavは、SandboxAQやAirbus Acubed、米空軍と連携し、渡り鳥の航法にヒントを得た「磁気異常航法(MagNav)」を開発中である。これは、量子磁力計と高度なAIを使用し、地球固有の磁気シグネチャをマッピングして正確な位置を特定する技術である。また、オーストラリアのQ-CTRL社は、DARPAに選定され、ルビジウム原子を用いた光ポンピング磁力計を開発し、強靭な航法システムの実現を目指している。フランスのThales社も主要な開発主体であり、GPSなしで長距離飛行後に10メートル程度の精度を達成可能な量子冷原子慣性装置など、様々な量子センサー技術を開発している。これらの量子航法技術は、衛星信号が利用できない状況下で、堅牢な代替手段を提供することを目標としているのである。
2. 仏Urgo、スペインのNutriexperts社を買収
コート・ドール県の家族経営グループであるUrgo(ウルゴ)社は、2025年における栄養補助食品分野での3件目の買収として、2019年に設立され、売上高が2,500万ユーロに達しているスペインのNutriexperts社の株式の80%を取得した。ベルギーのVista-Life Pharma社とポーランドのMyBestPharm社の買収に続くこの事業は、同社のヘルスケア部門における、75の新たなプレミアム製品を追加し、さらに4,000万ユーロの売上高をもたらすという、ハイエンド製品カタログの拡充戦略に沿ったものである。ブルゴーニュ地方の同グループは、売上高が1億5,000万ユーロから2024年には約8億9,000万ユーロに増加しており、まもなく10億ユーロの大台を超える見込みで、事業の半分以上を海外で展開している。さらに、この独立系グループは、研究開発と産業の分野に2000年から2030年の間に合計10億ユーロをフランス国内に投資する計画であり、今後5年間で3億5,000万ユーロの投資が残されており、その中には将来的に200人の従業員を擁するロワール地方の新工場プロジェクトも含まれているが、同社製品の80%がフランス国内で製造されているという方針を維持している。
3. 航空:エアバスのスピンオフ企業であるSpherea、カナダの企業Avernaを買収、規模が2倍に拡大
航空機装備品試験ベンチの専門企業であるトゥールーズのSphereaは、サプライチェーンの世界的な再編に適応するため、カナダのAverna社の買収を完了した。Airbusから独立して11年が経過した同社は、海外でのプレゼンス強化を図っている。6カ国に800人の従業員を擁するSphereaが買収したモントリオール拠点のAvernaは、航空宇宙、家電、自動車など、多様な分野の自動試験システムにおける世界的リーダーであり、11カ国に1,100人超の従業員を持つ。この主要な取引により、Sphereaは北米とアジア太平洋地域でのプレゼンスを強化し、ヨーロッパでの事業範囲も拡大することになった。新会社は13カ国で約2,000人の従業員を擁し、年間合計売上高は305百万米ドル、すなわち265百万ユーロを超えると見込まれている。Sphereaは売上高の80%を民間航空事業で計上しており、2023年から2024年の間に121百万ユーロから134百万ユーロに増加するなど、好調な業績を維持している。また、昨年同様、今年も100人程度の採用を計画しているが、今回の買収は6月に発表されたKonradグループの米国子会社の買収に続くものである。