フランス欧州ビジネスニュース2025年12月3日(フリー)
1. 仏政府、再生可能エネルギーのコスト、監査へ
2. BNPパリバを含む10の欧州銀行がユーロに裏付けられたステーブルコインでドルに挑戦
3. AI: 元GoogleとMetaの研究者が合成音声を市場に投入するためにGradiumを立ち上げ
4. 2026年、欧州の小型ロケット「マイア」打ち上げの年
5. 長い衰退の後、Ynsect、司法清算
6. 医薬品:まさかの合意により、英国、米国の関税を回避
7. アルセロール・ミッタル、未来の鉄鋼生産の微調整をダンケルク近郊で実行
8. 品質欠陥:エアバス、600機以上のA320を検査する必要
1. 仏政府、再生可能エネルギーのコスト、監査へ
フランスのエネルギーの将来に関する議論が続いているなかで、政府は再生可能エネルギーが財政や電力システムに与える影響を評価するために、二人の著名な人物に調査を委託する準備を進めている。首相が再生可能エネルギーに対する「利権」を終わらせる意向を示しているため、この措置は、太陽光発電や風力発電といった「グリーン」エネルギーの資金調達と電力システムへの統合を詳しく調査することを目的としている。
この評価の動機は、再生可能エネルギーの生産者に保証されている価格が国家予算を圧迫していることにあり、特に古い太陽光発電所は卸売価格が50ユーロ/MWh未満にまで下落しているにもかかわらず、平均で570ユーロという保証価格を享受している。その結果、2026年の再生可能エネルギー生産補助金には82億ユーロの支出が見込まれている。さらに、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの生産量が大幅に増加している一方で、電力需要がコロナ以前の水準を6%下回っているため、価格の変動が大きくなり、太陽光発電の出力抑制が増加している。委託書はまだ確定されていないものの、この任務は、電力システムの柔軟性と経済的均衡を改善するための解決策を提案しなければならないことになっている。ジャン=ベルナール・レヴィとティエリー・チュオという二人の人物がこの任務に任命されている。
2. BNPパリバを含む10の欧州銀行がユーロに裏付けられたステーブルコインでドルに挑戦
フランスの大手銀行であるBNPパリバは、他の9行のヨーロッパの銀行(Banca Sella, CaixaBank, Danske Bank, DekaBank, ING, KBC, Raiffeisen Bank International, SEB, UniCredit)とともに、ヨーロッパ最大の銀行コンソーシアム「Quivalis」に参加している。このコンソーシアムは、公式にはユーロに裏付けられたデジタル・トークン(ステーブルコイン)の採用を促進することを目指している。しかし、その真の野望は、トークン化された交換という新しい利用形態の流れに乗ることだ。ドルに裏付けられたステーブルコインの市場は、ユーロに裏付けられた同等の市場よりも630倍以上も大きくなっている。このコンソーシアムは、2026年下半期にユーロに裏付けられた新しいステーブルコインを「Quivalis」として発行することを計画していて、その目的は特にアメリカの勢力に対抗し、ヨーロッパの決済分野における戦略的自律性を強化することにある。ヨーロッパの銀行が団結しているのは、金融の潮流がブロックチェーン上でのトークン化された交換へと明らかに方向転換していることを感じているからである。このステーブルコインの市場は現在、約3,000億ドルの時価総額に達していて、2028年までに2兆ドルに達するという予測もある。ヨーロッパは、ステーブルコインの分野でアメリカの支配にさらなる遅れをとらないよう、経済主権の観点からもこの動きを危険だと認識している。
3. AI: 元GoogleとMetaの研究者が合成音声を市場に投入するためにGradiumを立ち上げ
フランスのAIラボであるKyutaiから生まれたスタートアップ企業Gradiumは、12月2日、AIが生成する合成音声の分野に参入することを発表している。同社は、FirstMark CapitalとEurazeoが主導し、Kyutaiの歴史的な投資家であるEric Schmidt、Xavier Niel、Rodolphe Saadéらの支援を受けて、6000万ユーロの資金調達を実施している。Gradiumは、元Google DeepMindやMetaの研究者を含むチームを擁していて、非常に低遅延で大規模に展開可能なオーディオモデルにより、ElevenLabsのような既存の米国の競合企業に挑戦することを目指している。創業者は、音声生成プログラムが大規模言語モデル(LLM)よりも技術的に負担が少ないことを強調していて、LLMが最大で2000億のパラメーターを必要とするのに対し、音声プログラムは約10億のパラメーターで済んでいると説明している。この新興企業はすでに、ヘルスケアやビデオゲームを含む10件ほどのパートナーシップを締結していて、非営利ラボであるKyutaiが引き続き基礎研究を進め、これを支援していくことになる。