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フランス欧州ビジネスニュース2025年12月31日(フリー)

フランス欧州ビジネスニュース2025年12月31日(フリー)
欧州委員会は、ACCやVerkorなどバッテリーメーカーを救うために資金援助を開始

1.        欧州、死の谷にいるバッテリーメーカーを救うために資金援助を開始

2.        フォルクスワーゲン、バッテリー子会社PowerCoへの資金提供を求める

3.        欧州炭素国境税:鉄鋼からセメントまで、中国、衝撃に備える

4.        原子力:EDF、古い原子炉を利用して少しだけ多くの電力を生産予定

5.        衣料品、化粧品…繊維業界いわくフランスはPFAS禁止で自らを縛っている

6.        2025年、ミストラルAIの成功の裏で、フレンチテックは苦戦

7.        「コート・ドール通り」:ブルゴーニュ県がGoogleストリートビューに代わる独自の代替手段を発表

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9.        2026 年の AI: 8 つの神話が崩壊

10.   食欲抑制剤:Novo Nordisk、2026年3月にジェネリック版の流入に備える


1.        欧州、死の谷にいるバッテリーメーカーを救うために資金援助を開始

欧州委員会は、ACCVerkorといった欧州のバッテリーメーカーが生産を安定させるまでの数年間、極めて脆弱な状態にあると判断した。発表された「バッテリー・ブースター」計画は、これまでの投資支援から、生産フェーズの支援へと論理を転換するものである。
現在、電気自動車用バッテリーの99%が中国や韓国などのアジア企業製であり、欧州は供給を完全に依存している。特に中国が原材料の供給を制限するリスクが顕在化する中、欧州の自律は急務である。しかし、スウェーデンのノースボルトの破綻が示す通り、数ミクロン単位の精度が求められる化学プロセスを習得し、歩留まりを改善して「死の谷」を越えるのは容易ではない。
本計画の内容と提言を以下の8点にまとめる。
第一に、2026年に総額18億ユーロを無利子融資として拠出する。第二に、そのうち15億ユーロをバッテリー生産者へ、300万ユーロを原材料供給業者へ配分する。第三に、従来の設備投資支援ではなく、生産立ち上げという最も脆弱な時期を支える仕組みとする。第四に、単なる約束ではなく、実際の納品実績に基づいて資金を供与する「性能重視」の姿勢を貫く。第五に、法改正が必要な直接補助金ではなく、無利子融資という形をとることで2028年までの移行期間を確保する。第六に、行政手続きの遅滞を避け、迅速な運用を実現する。第七に、支援を受けるための明確な基準を早急に策定する。第八に、中国の巨額投資や米国の支援策と比較し、今回の規模が十分であるかを継続的に検証し、必要に応じて追加措置を検討することである。
この計画は、欧州がこの産業競争を放棄しないという重要な意思表示である。


2.        フォルクスワーゲン、バッテリー子会社PowerCoへの資金提供を求める
 
欧州自動車最大手のフォルクスワーゲン(VW)傘下のPowerCoは、2025年12月17日にドイツのザルツギッター工場で車載電池セルの生産を開始した。中国メーカーへの依存脱却を目指す戦略的節目だが、式典は控えめに行われた。同工場は当初、電気自動車(EV25万台分に相当する年最大20GWhの生産能力を備え、将来的には40GWhへの拡張も視野に入れている。
しかし、VWを取り巻く環境は厳しい。EV市場の伸び悩みや中国勢との競争激化を受け、グループ全体の5年間の投資計画は当初の1,800億ユーロから1,600億ユーロへと縮小された。これに伴い、PowerCoへの投資枠も150億ユーロから100億ユーロ未満へと削減されている。スウェーデンのノースボルトの破綻や他社の苦戦が続く中、電池事業の継続には巨額の資金が必要である。
PowerCoはスペインやカナダでも工場建設を進めているが、親会社の資金難を補うため、外部資金の調達やパートナー探索を本格化させている。また、欧州委員会が発表した18億ユーロ規模の支援策「バッテリー・ブースター」などの公的助成にも期待を寄せる。一方で、傘下のポルシェが電池子会社の事業から撤退するなど、グループの電池戦略には不透明感も漂っている。


3.        欧州炭素国境税:鉄鋼からセメントまで、中国、衝撃に備える

2026年1月1日、欧州連合(EU)による炭素国境調整措置(CBAM)が本格的に導入される。この措置は、EU域外から輸入される鉄鋼セメントアルミニウム肥料水素電気6分野に対し、製造過程で排出された二酸化炭素量に応じた支払いを義務付けるものである。特に世界最大の生産規模を誇る中国の重工業にとって、この新税は大きな打撃となる。2024年時点で世界の粗鋼生産の**53%以上を占める中国だが、その生産工程の90%が石炭を用いる高炉に依存しており、環境負荷の低い電炉の使用率はわずか10%に留まっている。
専門家の試算によれば、この規制により中国からEUへの鉄鋼輸出は最大で32%減少する可能性がある。他の研究でも、鉄鋼輸出が18%から25%、アルミニウムが15%から20%減少すると予測されている。中国国内では不動産危機の長期化によって内需が低迷しており、余剰生産物の重要な受け皿であった輸出が制限されることは死活問題である。中国政府はこれを不当な貿易障壁であると批判しているが、一方で自国の排出量取引市場に対象分野を追加するなど、実質的には国際基準への適応を進めている。2030年までの二酸化炭素排出量ピークアウトという国家目標に向け、中国の巨大産業は水素製鉄への転換といった脱炭素化への抜本的な構造改革を加速させる必要に迫られている。