フランス欧州ビジネスニュース2025年12月15日(フリー)
1. 仏Quobly、量子コンピュータの開発に1億1500万ユーロの資金調達目指す
2. 自動車:中国メーカー、欧州で100万台以上の自動車を生産予定
3. 欧州企業のデジタル依存度を測る指標が誕生
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1. 仏Quobly、量子コンピュータの開発に1億1500万ユーロの資金調達目指す
CEA Letiのスピンオフであるイゼール地方の企業Quoblyは、フランスの量子コンピューター開発競争における主要なプレーヤーとしての地位を確立している。同社は、2031年までに数百万個の「論理キュービット」を生産するため、半導体産業とその主要材料であるシリコンに依拠するという独自の道を選んだ。CNRSとの15年間にわたる共同研究に基づくこの技術的アプローチにより、Quoblyはパートナー企業が持つ既存の生産手段を活用できるため、工業化のコストを削減できるのである。Quoblyは、STMicroelectronicsと緊密に連携しており、同社はFD-SOI 28 nmプロセスを用いた量子プロセッサの工業化を加速させている。また、シリコン基板に関してはSoitecとも提携している。同社はシリーズAで1億1500万ユーロの資金調達を完了する予定であり、既に4000万ユーロ近くの資金を調達し、DGAなどとのR&D契約を通じて1000万ユーロの売上を計上している。同社のロードマップでは、2026年末までにOVHcloudなどの顧客に最初の世代のキュービットを納入する計画である。
2. 自動車:中国メーカー、欧州で100万台以上の自動車を生産予定
最近の調査によると、BYD、Chery、Xpeng、MGなどの中国メーカーによるヨーロッパ(トルコを含む)での自動車工場建設計画が13件確認されている。これらのプロジェクトによる発表済みの投資額は42億ユーロを超えており、中国メーカーの生産能力は2027年には76万台、翌年には100万台以上になる見込みである。世界最大の電気自動車メーカーであるBYDが最も先行しており、ハンガリーとトルコで2つの工場を確定し、2028年には50万台の生産を目指している。
これと並行し、中国のバッテリー大手CATLは、3つの主要プロジェクトに合計で100億ユーロを超えるさらに大規模な投資を行っている。特にハンガリーでのギガファクトリーには記録的な73億ユーロが投じられている。中国車の欧州市場におけるシェアは、2025年9月に7.6%に達しており、この急速な拡大を受けて、フランスはブリュッセルに対し、車両の75%を欧州域内で生産することを義務付ける域内生産要件を最低限設けるよう求めているが、ドイツなど他の国々はこれに消極的である。
3. 欧州企業のデジタル依存度を測る指標が誕生
欧州企業が主に米国発のソリューションにデジタル面で依存していることは、地政学的緊張が高まるなか、長期にわたり看過されてきた重大なシステミックリスクとなっている。経営者はこれまで、供給元の出所や契約関係を考慮せず、最安値での購入を優先してきたのだ。国際刑事裁判所が今年5月、米国による制裁措置を受け、Microsoft(マイクロソフト)のサービス利用を遮断されたという苦い経験は、国際展開する大企業の情報システム部門責任者(DSI)に緊張を走らせている。
この依存度は、これまで正確な測定が不可能であったため、削減が特に困難であった。そこで、アセンド・パートナーズ(Ascend Partners)の創設者デヴィッド・ジャイズ氏は、2月に開催されたパリでの世界AIサミットで、この問題の専門家であるスタートアップProbablのヤン・レシェル氏と、「デジタル・レジリエンス指標」(IRN)を作成する議論を開始した。この指標は、作業端末のアプリケーション層からクラウドインフラ、さらには半導体やサーバーといったハードウェアに至るまで、企業全体の状況を把握できるようにすることを目的としている。
この指標の設計者たちは、概念的なアプローチを避け、フランスの電力送電網管理者であるRTE(フランス送電網運営会社)などの企業と共同でツールを構築した。RTEは、このツールをレジリエンス、主権、競争力の問題を共同で管理するための羅針盤と見なしている。6カ月にわたる開発期間を経て、当初4つだった評価基準は、11、26と増え、最終的に70の評価基準に拡大された。これには、非欧州圏からの購買依存度やGDPR(一般データ保護規則)などの欧州規制への適合性だけでなく、経営陣による関与や、デジタルショックに直面した場合の事業継続計画の有無といった企業文化や組織に関する基準も含まれている。
IRNの推進者たちは、規制当局やブリュッセルからの規範的なアプローチとは一線を画し、このツールをRTE、Docaposte、Caisse des Dépôts、Crédit Mutuel、MAIF、SNCF、Orange、CMA-CGMなど、プログラムに参加した企業が、それぞれの事情に合わせて調整できる柔軟な作業基盤としたいと考えている。測定は削減の第一歩であり、IRNの推進者たちは、11月18日に財団を設立し、この指標をフランス経済、そして欧州全体に迅速に普及させることで、欧州の代替デジタルサービスの出現に必要な、大企業による共通のニーズの表明を実現したいと望んでいる。