フランス欧州ビジネスニュース2025年11月6日(フリー)
1. 人間の脳波を解読できるフランスの新興企業、HABS とは?
2. フランスでは、新しいユースホステルが高級志向に移行し、拡大している
3. 仏Vela 、帆走貨物三胴船によって航空貨物との競争を目指す
4. トータルエナジーズ、大型車両の脱炭素化に水素はもはや不要と考える
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1. 人間の脳波を解読できるフランスの新興企業、HABS とは?
フランスのスタートアップHABS(Human Augmented Brain System)は、脳の電磁波信号を解読・解釈できるAIソフトウェア「Sensora」を開発し、インキュベーターStation Fの最も優秀なスタートアップ40社の一つに選出された。2023年に設立されたこの野心的なプロジェクトは、創業者オリヴィエ・ロキュフィエ氏が病院で幼い子供の痛みを評価する方法を探求した個人的な経験から生まれている。HABSのソリューションは非侵襲的であり、脳のデータを直接処理する自社製センサー付きヘッドセット「Neoxa」を使用し、「認知的プライバシー」を保護している点が、頭蓋内インプラントを提供するアメリカのNeuralinkとは異なる。現在、HABSの主要な収益源はニューロマーケティングであり、大企業が製品や広告が引き起こす感情的影響を客観的に評価するのを支援している。しかし、運転手の疲労や認知機能の低下を検知する交通安全対策や、脳信号が偽造不可能な認証方法となるサイバーセキュリティなど、具体的な応用例が数多く登場している。さらに、HABSはプロジェクト当初の目標であった病院での痛み検知のためのテストを1月に開始する予定で、その実現には1年から2年かかると見ている。
2. フランスでは、新しいユースホステルが高級志向に移行し、拡大している
近代的な「ホステル」と呼ばれる宿泊施設部門は、フランスで過去4年間で規模が2倍になり、多様な客室、凝った内装、エンターテイメント、終日提供される食事などで、従来の低価格チェーンホテルに対抗し、そのイメージを古くしている。この部門は現在、フランスに約60施設、16000床を有し、今後3年でさらに2500床が加わる見込みであり、最適化された客室(25平方メートルに6ベッドなど)と、売上高の最大70%を占める飲食部門により、高い収益性を示しているため、リージェント(ザ・ピープル)やアコー(ジョー&ジョー)などの投資ファンドやホテルグループの関心を集めている。ホステルの台頭は、パリやリール、リヨンなどで、空室となっている旧オフィスビルを転用することで促進されており、自治体も若者や家族連れの顧客を引きつけ、バーやレストランで地域住民にも開かれているこれらのプロジェクトを好意的に見ている。しかし、大都市圏外では市場の共食いが問題となることがあり、消費の低迷が飲食部門の収益性に影響を与えているため、ホステルはより裕福な客層や企業セミナーを誘致するために、サービスの質を上げ、ドミトリーの割合を減らして個室を増やす方向にシフトしている。一方、歴史ある協会のユースホステル(フランスにまだ約400箇所)は、新世代のホステルに比べて業績が劣り、補助金の削減に苦しんでおり、生き残りのために残りのネットワークは飲食やサービスを多様化せざるを得ない状況にある。
3. 仏Vela 、帆走貨物三胴船によって航空貨物との競争を目指す
外洋ヨットレースの強国であるフランスは、帆走による貨物輸送において揺るぎない優位性を持っているが、その最新例がアキテーヌ地方の若き船主ヴェラ社である。同社は2024年9月に4000万ユーロの資金調達を完了し、来年、世界初となる貨物用帆走三胴船をカーンから進水させる予定である。フィリピンで建造中のこの船は、全長67メートル、幅25メートルで、ブルターニュのVPLP社が設計を担当し、外洋レースのマルチハルヨットから直接着想を得て、ハイドロジェネレーターなどの技術を導入している。この「ヴェラ1」は、従来の海運に比べ二酸化炭素排出量を約90%削減しつつ、コンテナ船に匹敵する速度で大西洋を15日以内に横断することを目指している。
この船の利点は、強風や弱風時の安定性と性能にあり、太陽光発電とハイドロジェネレーターで電力を供給する特許取得済みの冷蔵貨物室を備え、最大600パレットを収容できる。これにより、日本の大手製薬会社である武田薬品など、持続可能な輸送方法を重視する顧客を引きつけている。ヴェラのサービスは、航空貨物輸送の代替案として魅力的であり、二次港にも寄港できるため脱炭素化にも貢献する。同社は2027年にシリーズBの資金調達を計画しており、4年以内に同型船をさらに4隻建造することを目指しており、フランス議会が帆走推進型海運の発展を加速させる法案を可決することを期待している。