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フランスビジネスニュース2025年3月12日

フランスビジネスニュース2025年3月12日

今日のトップニュースは欧州各国の防衛費増大によって欧州中央銀行からインフレ上昇圧力の懸念表明。既にドイツ国債の金利上昇により財政が影響受けているのに加えて、更に仏政府へのプレッシャーは増すばかり。

以下が今日の見出し六件。

  1. 戦時経済、ヨーロッパのインフレを再燃させる懸念
  2. 欧州の保健主権を強化するブリュッセルのプロジェクト
  3. エアバス・ヘリコプターズ、H140の受注60機以上
  4. フォルクスワーゲン、回復の鍵を模索中
  5. エールフランスとルフトハンザ航空、エア・ヨーロッパの支配権をめぐって争う
  6. 金利上昇、フランス債務への新たな脅威

1.        戦時経済、ヨーロッパのインフレを再燃させる懸念
 

 
ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は、防衛投資の増加は成長だけでなくインフレも押し上げる可能性があると警告した。エマニュエル・マクロン大統領は、この取り組みの資金を調達するために増税を避けたいと考えているが、価格への影響は依然として懸念事項となっている。
 
米国の撤退に直面し、彼は欧州諸国に対し、2025年にGDPの3~3.5%を防衛費に充てるよう求めている。フランスは2%、つまり505億ユーロを防衛費に充てるとしている。軍事大臣は、フランス軍にとって年間1000億ユーロの予算が理想的だと考えている。
 
ドイツも同様の取り組みを計画しており、債務ブレーキの見直しを検討している一方、欧州委員会は欧州再軍備のために8000億ユーロの計画を提案している。この動きは、受注残がいっぱいの軍需産業に利益をもたらすだろう。
 
専門家によると、投資によって生産能力も強化されるため、インフレの影響は中程度かつ一時的なものになるという。一方、米国で設備を購入すると、特にドイツ、イタリア、オランダ、スペインでの輸入インフレが悪化するだろう。
 
フランスのインフレ率は2025年2月に0.8%だったが、ECBは2025年に2.3%、2026年に1.9%、2027年に2%になると予測している。主な問題は依然として資金調達である。2024年の財政赤字は6%と予測されており、フランスは支出を削減するか増税するかのいずれかを迫られるが、これはインフレよりも家計にとって大きなリスクとなるだろう。


2.欧州の保健主権を強化するブリュッセルのプロジェクト
 

欧州委員会は、現在60~80%、抗生物質に関しては最大90%を中国とインドに依存している重要な医薬品の生産を欧州に回帰させたいと考えている。この依存関係により、重大な脆弱性と繰り返し発生する不足が生じる。
 
これに対処するため、欧州委員会は、欧州の資金へのアクセスを容易にし、行政手続きを迅速化して欧州での生産をより魅力的なものにすることを目的としたプロジェクトを提示した。委員会はまた、現在最も安価で、輸入品が多い医薬品を優遇している公共調達の改革も望んでいる。この法案が採択されれば、公共調達には、コロナ禍で実施された共同購入協定と同様に、供給源の多様化と欧州での生産を奨励するための基準が含まれるべきである。
 
フランスと他の9つの加盟国は、協調的な欧州投資計画やインドと中国の生産者との公正な競争などの追加措置を求めている。ジェネリック医薬品連合は戦略的自立に向けた大きな一歩を踏み出したとみているが、EUが廃水に課す環境税は50億~110億ユーロの費用がかかり、「医薬品不足の津波」を引き起こす恐れがあると警告している。


3.エアバス・ヘリコプターズ、H140の受注60機以上
 
エアバス・ヘリコプターズはダラスのバーティコンショーで新型H140ヘリコプターを発表し、初日にすでに60機以上の受注を記録した。この3トンの航空機は緊急医療任務(EMS)用に設計されており、2028年に就航する予定だ。
 
メトロ アビエーションは、36機のH140(確定注文12機、オプション24機)という最大規模の契約を締結した。アメリカの通信事業者グローバル・メディカル・レスポンス(GMR)は、オプションの5台を含む15台の装置を発注した。欧州では、運航会社ADAC Luftrettung(ドイツ)とÖAMTC Flugrettung(オーストリア)がH140を10機発注し、50/50で共用する。米国の航空医療サービス大手エアー・メソッズも、機数を明らかにせずに発注した。
 
同時に、エアバス・ヘリコプターズは他のモデルの注文も受けており、エアメソッド向けにH125を10機、H135を11機、ADAC Luftrettung向けにさらに4機(H135を3機、H145を1機)を受注している。